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二律背反の状況に怒りを感じるとき

2017.07.30

7月後半は、アンガーマネジメントについて登壇する機会が続きました。
「アンガーマネジメント講座」としてお話しするのはもちろん、リーダー育成やメンタルヘルス研修などでも、感情のコントロールについて触れる機会が多かったのです。

その中で、私はできるだけ、参加者の方の実際の怒りの事例を取り上げるようにしています。
現実のビジネスにおける様々な「怒り」の事例についてお聞きすることが私自身も勉強になりますし、リアルな事例は参加者の方も関心が高いからです。

そんな中で、私も「あー、あるなあー」と感じたこと事例がありました。
取引先(あるいはそこの社員)に対する不満で頭にきているものの、お仕事をいただく相手になるので、あまり強く怒りを伝えられない…そんな状況です。

私の例でいうと、仕事をいただいている先の企業から、値引きを申し出られたということがありました。
そこは、仲介をしてくれる会社だったのですが、相手先企業からそこに値引き依頼があったので、私にも当初、口頭で伝えられていた金額からディスカウントするというものだったのです。

値引き云々は、その会社と顧客企業との間の話であって、こちらにしわ寄せがくることに納得がいきません。
先方からのメールを読んで、かなりむっとしたことを今でも覚えています。

しかし、その会社からはかなり多くのお仕事をいただいています。
もし、私が値引きに応じないと言ったら、もうこの先、仕事はいただけなくなってしまうかもしれない…
そう思うと、「値引きには応じない」と伝えることにも躊躇を覚えました。
まだ独立して駆け出しのころで、それほど取引している相手も多くないこともあり、そこの会社の仕事は本当にありがたかったのです。

そして、そんな躊躇をさせられていると思うと、相手の会社への怒りがまた増していく…(^^;)。

我慢して相手の要求を呑み、取引を確実に続けてもらう方がよいのか?
それとも、取引がなくなることを覚悟の上で、納得できないことを伝えた方がよいのか?

結局、後者を選びました。
取引は確実に続けてもらえるかもしれません。
でも、今後もちょくちょく値引きを求められることになるかもしれない。
それは私にとっては望ましくない状態だと考えたからです。

駆け出しでもあり、パフォーマンスにそれほど自信があったわけではありません。
でも、契約した金額以上の成果を出すことに全力を尽くしていることには自信がありました。
だとしたら、その姿勢をきちんと評価してもらう会社と仕事をしたい。
それが私にとっては、「納得しないままでも取引を続ける」ことより重要だったのです。

アンガーマネジメントには、怒りを感じた際に、どんな行動をとるかを選択するための「分かれ道」というフレームワークがあります。

ここでは、「怒りを伝える」行動を起こす場合分けを示しています。
そして、左上の「重要で、かつ、自分が変えられること」に絞るという考え方を示しています。

私にとっては、こちらの仕事の成果を評価してくれて、かつ納得いく取引をしていただくことが重要でした。

そこで、「値引きには応じられない」とお伝えしたのです。
丁寧に、冷静に、慎重な文面で…。

結局、こちらの要求を理解してくださり、元々の提示価格を受け入れてくださることになりました。

相手の会社の行動を変えてくれるかどうかは、五分五分だったと思います。
でも伝えてみないと、変わってくれるかどうかはわかりません。
もしかすると、こちらの期待通りの行動にはつながらなかったかもしれません。
下手をすると、次の仕事を失う可能性もあったかも。

でも、それはそれで仕方がない。
私にとっては「お互いに、その仕事内容に納得でき、それが報酬に反映される関係」が大事なのです。
それがこの件で、よくわかりました。

ここでお伝えしたいのは、何が自分にとって「重要か」を明確にするということ。
人によっては、「取引先の感情を害さない方が大事」「取引継続のリスクを冒さない方が大事」という考え方もあるでしょう。
自分の人生にとって、何が「重要」なことなのかを明確にし、そのことについてはきちんと怒りを伝えていく。
そんな風に「選択」していくことが、不要な怒りから自分を回避させることになるのだと思います。

そして「怒り」についてどんな行動をとるかの選択は、自分の人生にとって、何が大事かを考えるきっかけであると思うのです。

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