Office Carlino個人の力を組織力へ。ダイバーシティ推進・ミドル活性化は朝生容子へ お問い合わせ

「資生堂ショック」を考える

2015.11.10

9bb104713c398eb323a91d34f4317a86_m

昨日のNHKの朝のニュースで報じられた資生堂の制度改革。
主に子育て中の女性が多く取得している短時間勤務制度を見直し、フルタイムで働くことを前提とするというものでした。

ニュースではお客様との最前線である美容部員(BC)の例を取り上げていました。
BCのシフトが終了した後に売り場は繁忙期を迎え、その時間を若手やベテランが肩代わりをしていのが現状。
しかし、いつしか時短勤務者の割合が増え続け、通常勤務の社員から悲鳴が上がるように。
さらには、士気が後退、売上も減少したため制度改革に踏み切った…
さらに、売り上げ減がこのまま構造的な業績不振に陥り、ひいてはリストラになりかねないと懸念して、ここで制度改革に踏み切ったということのようです。

私がこのニュースを見たときに、すぐに思い浮かんだのは、「女性自身のキャリア観」と「会社全体の働き方」と問われるなということ。

会社の制度改革は、単純に「短縮勤務をとるな」と言っているわけではなく、まず短縮勤務以外の方法が可能か、上司との面談を行うことになっています。
制度上も、ベビーシッター制度への補助など、短縮勤務に代わる制度を導入しています。

短縮勤務は、女性のキャリアから考えるとポジティブなことばかりではありません。
2000年に入ってから短縮勤務などに代表される両立支援制度が充実されてきました。
しかし、それが女性のキャリアアップにつながらなかったのは、「指導的立場にある女性の率」の国際比較に見られる通り。
当の女性自身も、キャリアに対する意欲がありながら、マミートラックに陥ってしまうことに忸怩たる思いを抱いている人も少なくありません。

資生堂の改革は、こうした「育休中のジレンマ」を抱えた女性たちへの一つの解決策を示すものと捉えられるのではないでしょうか。
これまで、子供かキャリアアップか、の2つしか選択肢がなかったところに、「キャリアも子供も」の第三の道を示そうとしているように私は受け取れました。

私自身は子供がいませんが、子育て中のスタッフを部下に持っていたことはあります。
時短で早く帰りますが、そのあと夜遅くにメールをしてくるなど、トータルで考えると短縮勤務で決められた時間帯以上の働きをしていたことは確かです。チームの中で、彼女ならではの価値を発揮してくれていて、非常に助かりました。

会社がフルタイムを前提にし、それを実現できる制度を整えると方針転換することで、「やる気があるのにキャリアアップにつながらない」彼女たちに、新たな選択肢を与えてくれているように感じたのです。

一方で、「子育てに力点を置きながら、細く長く働きたい(キャリアップしなくてよいから)」と考えている女性にとっては、厳しい選択を迫られることになるでしょう。
実際にネットでは「資生堂商品をもう買わない」という人も見られます。
女性自身を重要なターゲットとする資生堂は、こうした女性からの批判は痛いはず。

その批判を回避するのは、男性社員も育児支援制度を活用する実績を積んでいくしかないように思います。
つまり、短縮勤務制度をなくすというのは「(一般に言われる)男性並みの長時間労働」を強いるわけではないということを、会社全体の働き方を変えることで証明しなくてはならないのです。

いずれにしても、「女性活躍推進」の次のステージに踏み出した資生堂さん。
これからの動向に注目しています。

 

←記事一覧に戻る

MENU

CLOSE