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医療現場の未来を創る:アンコンシャス・バイアスと「名もなき仕事」への挑戦

2026.03.15

先日、ある医科大学にて女性リーダーを対象とした研修に登壇させていただきました。

医療の最前線で活躍する皆さんと共に、「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)」とどう向き合い、いかにリーダーシップを発揮するかを考える濃密な時間となりました。

組織の本気が伝わる「場」の空気感

今回の研修で何より心強かったのは、大学側の「本気度」です。

学長自らによる冒頭のご挨拶に加え、キャリア支援を担うセンター長も最後まで熱心に聴講されていました。

「女性リーダーを育成し、そのための働き方改革を断行していく」という、組織全体の強い意志。

医療業界では時に、過酷な労働環境(いわゆるブラックな実態)が語られることも少なくありません。しかし、こうしてトップがコミットし、地道に、かつ着実に変革を試みる姿勢に、私は日本の医療の未来を支える大きな「希望」を感じました。

「多様な正解」をゲームで体感する

研修は、「クロスロード・ダイバーシティゲーム」からスタートしました。

これは、職場で起こりそうなダイバーシティに関する具体的なケースに対し、自分だったらどうするか、イエス/ノーを選択するゲームです。瞬時の判断を求められる中で、参加者の皆さんは驚かれていました。

「自分ならこうする」という選択が、他のメンバーとは全く違う。

キャリア観やリーダーとしての対応において、「これほどまでに多様な考え方が存在するのだ」という事実、そして自分が当たり前と思っていることがそうではなあことをゲームを通じて肌で感じていただけたようです。その違いは「対立」となるものではなく、対話を行うことで新たな視座を得られるものと気づいていただけたようです。

医療現場特有の課題:「名もなき仕事」への眼差し

「個人のキャリア観」だけでなく、「リーダーとしてチームのバイアスにどう対処するか」という実践的なワークも行いました。ここで非常に印象的だったのは、「名もなき仕事(付帯業務)」の負担感です。

ワークショップの中で、複数の方から「こうした名もなき業務を、組織として正当に承認・評価しよう」という案が出され、会場内の多くの賛同を得ていました。

一見、アンコンシャス・バイアスとは無関係に思えるかもしれません。しかし、「こうした細かな仕事は、誰かが負担するのが当たり前」という無意識の前提が、現場の不満や理不尽さを生んでいる可能性があります。

北欧の事例から考える「仕組み」の重要性

こうした現場の切実な声を聞きながら、以前読んだデンマークの働き方に関する一冊の本(針貝有佳 著『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』)の内容を思い出していました。

デンマークの医療現場では、若手が臨床経験を積む際、「長時間残って症例を待つ」という個人の根性に頼るのではなく、短時間でも必要な経験を確実に積めるよう、研修プログラムそのものが高度にシステム化されているといいます。

ひるがえって日本の現場を見ると、配属先や「医局」のカラーによって、働き方も教育体制も大きな差があるのが現状です。

研修を終えて

アンコンシャス・バイアスに気づくことは、単に「考え方を変える」ことではありません。

現場に埋もれている不合理な負担に光を当て、誰もが納得感を持ってキャリアを積める「仕組み」をアップデートしていくことです。

医療現場の変革は、一朝一夕にはいかないかもしれません。

それでも、今回のような組織を挙げた地道な取り組みが、やがて大きなうねりとなって現場を支える力になると信じています。

講師として、皆さんの前進に少しでも貢献できたのであれば、これほど嬉しいことはありません。

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