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垣根を越えて活躍する未来へ:職種統合の「地ならし」となるアンコンシャスバイアス研修

2026.06.16

こんにちは。オフィス・キャリーノの朝生です。

現在、ある組織の事業部全体のスタッフの皆様を対象に、継続的な「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)研修」をお手伝いしています。管理職層から始まり、今年度は役職のない若手から中堅社員の皆様向けの研修が展開されます。

特に今回の研修は、組織にとっても、受講生の皆様にとっても大きな変革の中の研修と位置づけられます。

人事制度改定という大きな転換点と、受講生の不安

今年4月から人事制度の並行(改定)により、これまでの「地域総合職」と「総合職」という職種について、転勤の有無以外の仕事内容の違いが撤廃されました。

これまでは主には内勤として営業アシスタントなどを担ってきた旧・地域総合職スタッフも、今後は営業の最前線に立つ可能性が出てきています。そうした事情から、大きな不安を感じている方が少なくない、というお話を事前に伺っていました。

そうしたお話を受けて、今回の研修では特に「自分のキャリアに対する思い込みや制約を、できる限り低減すること」に重きを置きました。

同時に、これは組織全体の課題でもあります。

これまでは「補助的な仕事」と役割を限定してしまったり、会議への参加を求めてこなかったりという、組織側にあった無意識のバイアスや慣習をなくしていくこと必要があると考えられます。しかし、参加を求められる側の負荷を加味しない変化は新たな問題も起こします。今回の研修は、双方がフラットに、新しいステージへ進むための「地ならし」とも言える場といえます。

「やる気」の問題に回収しない──「社会モデル」という視点

研修の中では、ダイバーシティ推進を考える上で欠かせない「社会モデル」という考え方を今回、新たにご紹介しました。

女性活躍の推進において、よく耳にするのが「制度は作ったんだから、あとは当の女性社員ががんばるべきだ」「これだけ制度を整えたのに、管理職になりたがらないのは本人たちのやる気がないからではないか」という声です。

しかし、このように問題の原因をマイノリティ(当事者)側にのみ帰する捉え方は、「個人モデル」と呼ばれるものです。

一方で「社会モデル」では、管理職に手を挙げられない原因は本人だけでなく、「環境(社会・組織)の側」にもあると考えます。

たとえば、家事や育児の負担が依然として女性側に偏りがちな社会の現実や、歴史的な経緯としてこれまでリーダーシップの経験を積む機会が少なかったことなど、構造的な障害が存在しているのです。

受講生の皆様には、この「環境側の要因」に気づき、視野を広げていただきたいという思いから、このモデルをお伝えしました。

研修の場だからこそ、バイアスを発動させない仕組みを

また、研修の場そのものが、ポジション(職位やこれまでの職種)やジェンダーなどのバイアスに影響されてしまっては、受講生が本来の力をフルに発揮できません。

そこで今回は、心理的安全性を担保し、誰もがフラットに発言できるよう、プログラムの中にいくつかの「仕掛け」を設けました。

 ・無記名の紙を使ったワーク:誰が書いたかに左右されず、純粋に「意見そのもの」にフォーカスを当てる。

 ・アトランダムな役割決め:進行役や発表者は、五十音順などで機械的に決定し、特定の人が役割を固定されないようにする。

こうした細かな工夫を散りばめることで、誰もが当事者として参加できる環境を整えました。

「自分の外に意見を出す喜び」と、見えてきた高いポテンシャル

実際にワークが始まると、素晴らしい変化の兆しが見受けられました。

最初は発表をためらったり、自分の考えをうまく伝えられずにいた旧・地域総合職の方々の意見が、前述した仕掛けのなかで、周囲から高い評価を受けるうちに、表情がガラリと変わっていったのです。

徐々に、自分の内側にある想いや意見を「外に出すことの喜び」を感じていらっしゃる様子が、ひしひしと伝わってきました。

また、アンコンシャスバイアスへの対処策を考えるセクションでは、彼らのポテンシャルの高さに目を見張るものがありました。

先ほどの「社会モデル」の視点とも響き合うように、個人の意識改革(気をつける、など)だけに頼るのではなく、

 「不足しているスキルを補うためのトレーニングの機会がほしい」

 「お互いの業務を理解し合うためにマニュアルを作成しよう」

といった、組織の仕組み(環境)として解決しようとする策が、受講生主導で次々と出されたのです。

もちろん、まだ若い世代ということもあり、問題の背景にある深い心理的洞察という点では、少し物足りなさを感じる部分もありました。しかし、それはこれから実務の中で多様な経験を積み重ねていくことで、自然と深まっていくものです。何より、この主体性と機会欲があれば心配ありません。

研修を終えて

研修の中に設けた細かな工夫が、受講生の皆様の一歩を踏み出す成果につながっていたとしたら、講師としてこれほど嬉しいことはありません。

これまでの「職種の垣根」を軽やかに飛び越え、それぞれが自分らしく活躍していける──そんな力強い未来の足音をしっかりと聴くことができた、手応えのある研修となりました。

受講生の皆様、そして事務局の皆様、ありがとうございました!

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