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【インポスター症候群】「自信がない」のは誰のせい?~NHK『あさイチ』を観て考えたこと~

2026.04.26

4月20日に放送されたNHK『あさイチ』で「インポスター症候群」が特集されていたのをご覧になりましたか?

番組では、私が日頃からお世話になっている株式会社クオリアの荒金社長が解説されており、非常に興味深く拝見しました。また、偶然にもキャリアコンサルタントの読書会で読んだNCDA(全米キャリア開発協会)の機関誌でも取り上げられていたのです。

インポスター症候群とは、直訳すれば『詐欺師症候群』。自分は実力不足なのに、周囲を騙して評価されているのではないかという、本人にとって非常に苦しい不安の正体なのです。

この言葉を聞いて、真っ先にFacebookの元COO、シェリル・サンドバーグ氏の著書『LEAN IN(リーン・イン)』を思い浮かべる方も多いかもしれません。この本が出版された時に「インポスター症候群」の言葉が話題になりました。世界で最も成功した女性の一人と評されるサンドバーグ氏でさえ、「自分は優秀ではないのではないか」「いつか嘘がバレるのではないか」という不安に常に苛まれていた、というエピソードは、この症候群がいかに根深いものであるかを物語っています。

私自身、女性活躍推進やアンコンシャスバイアスに関する研修の中で、このテーマを扱うことがよくあります。この「インポスター症候群」が、日本の職場でどのような問題を生んでいるでしょうか?そしてどう向き合うべきかについて考えてみたいと思います。

インポスター症候群で起こる職場の問題正体

職場でよく目にする、このような光景はありませんか?

1. 上司(男性)が、優秀な部下(女性)に対して「君の実力なら、ぜひ管理職をやってほしい」と打診する。

2. 女性は「いえ、私には無理です」と辞退する。何度勧められても辞退。

3. 結果として上司は「ああ、彼女にはやる気がないのだな」と評価を下す。

こうしたケースでは、実は単なる「やる気の問題」ではないことがほとんどです。「インポスター症候群」による極度の自信のなさが、辞退として表れているだけなのです。

しかし、その背景を知らないまま「やる気がない」とレッテルを貼ってしまうと、せっかくの優秀な人材の芽を摘むことになります。女性にこうした傾向があることを管理職層が理解していれば、対応は全く変わってくるはずです。「やる気がない」と決めつけるのではなく、「自分を過小評価してしまう傾向がある」と捉え、具体的なサポートや対話を重ねることで、このギャップは埋めることができます。

個人の問題ではなく「社会の構造」の問題

番組でも解説されていましたが、インポスター症候群は、男性よりも女性に多く見られる傾向があります。

ここで私たちが最も注意しなければならないのは、「この症状を抱えることを、本人個人の問題に帰結させないこと」です。

なぜ女性に多いのか。その背景には、社会的に刷り込まれた性別役割認識や、無意識のうちに私たちの思考を縛る「社会規範」が大きく影響しています。「女性はこうあるべき」「失敗に対して厳しく評価される」といった構造的な課題が、女性たちの自信を内側から削いでいるのです。

つまり、これは本人のメンタリティの問題である以前に、社会モデルの問題として捉える必要があります。

組織としてできること

女性活躍推進が順調に進んでいる企業には、共通点があります。それは、こうした心理的なハードルを前提とした環境づくりができていることです。

• コミュニケーションの工夫: 本人の自己評価を鵜呑みにせず、実績を丁寧にフィードバックし、自信を育む伝え方をしている。

• 継続的なサポート: 昇進時だけでなく、その後も「自分はここにいていいんだ」と感じられるようなメンタリングや環境作りを行っている。

本当に力のある人が、その実力を存分に発揮できる職場を作るためには、「自信がない」と口にする女性を「やる気がない」と切り捨てるのではなく、その背景にある構造そのものに着目していくことが必要不可欠です。

インポスター症候群は、個人の心の持ちようだけで解決できるものではありません。だからこそ、私たち周囲や組織が変わることで、救える才能がたくさんあると信じています。

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