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国際女性サミット@バーゼルに参加

2019.07.11

7/4〜6にスイス、バーゼルで開催された「国際女性サミット(Global Summit of Women)」に参加してきました。

▼Global Summit of Women ホームページ

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29年間、毎年世界各国の持ち回りで開催されているこのサミット、65か国から1000人以上の女性が集まります。
2年前には東京で開催。その時に初めて参加して強い印象を受けたのです。
(その時のレポートが以下の記事になります)
女性が働きたくない国「日本」。

■女性が働くことはもはや大前提

2年たった今回の会議では、東京大会で醸し出されていた「女性が働くことのうしろめたさ」は全く感じませんでした。

それよりは、「男性と女性の賃金ギャップをどう埋めるか」「AI時代の働き方」が主なテーマとしてあがっており、もはや「働くか否か」の段階ではなく、「どう働くか」が問われているように感じました。

その流れを受けてか、東京大会ではなかった交渉力や相手を説得する技術などのビジネススキルのワークショップ分科会が開催され人気を集めていました(私は参加せず)。

そんななかで興味深かったのは開催国スイスの働く女性の現状です。
ヨーロッパというと、すべからくの女性が社会の中で活躍しているように思えますが、スイスはその中でも保守的でマッチョな国であるとのこと。
たとえば男性の育休は1日しかないそうです。
スイス人と結婚して彼の地で働くアメリカ人女性は「なぜわざわざ働くのか?」と周囲のママ友から不思議がられるという話は、妙に共感を覚えてしまいました。
歴史的背景をひも解くとさもありなんなのですが、ヨーロッパの多様性を再認識しました。

とはいえ、日本とスイスとを比べると各段の差があり、日本の周回遅れ感は否めません。

■「ウェルビーイング(幸福)」が大きなテーマに
個人的に、いえ、たぶん参加者の多くがもっとも印象的だったのが、3日目の「女性CEOフォーラム」ではなかったかと思います。
今回のこのフォーラムのテーマは「個人上、仕事上のウェルビーイングを定義する」。

企業のトップとして活躍している女性たちにこれまでの経歴をインタビューしながら、それぞれの「ウェルビーイング(幸福)」は何かを語っていただきました。
登壇したのは以下の4人。

アナ・パウラ・アシス(IBMラテンアメリカ GM)
アン・ケアンズ(マスターカードUK 副社長)
リ・ダン (ジェナーテック(中国の物流会社)CEO)
ジェイン・グリフィス(アクテリオン(スイス J&J関連の製薬会社) グローバルヘッド)

彼女たちは60歳代でしょうか。働く女性のパイオニアとして道を切り開いてきたことがお話から伺えます。
男性の中で女性一人で訓練を受けた際に、誰よりも率先して危険なことを請け負ってきたこと。
「妥協しない、後悔しない」ことをモットーに働いてきたこと。
その越し方の物語に聴衆が聞き入っていました。

そんな彼女たちが何を自分たちにとっての「ウェルビーイング(幸福)」と定義するか?
その答えは、「家族を含めた心と体の健康」や「80歳まで働き続けるスタミナ」だったり「時にはネットから離れること。時間の融通性」であったり…。
グローバル企業のトップにしては、思ったよりも私たちと変わらないものでした。
「ビジネスを前に進める事」「従業員から必要とされること」といった仕事にかかわる要素が出てきたあたりは、トップらしいといえばトップらしいでしょうか…。

一方で、従業員をどのように「ウェルビーイング」にするかは、自分のことよりも雄弁に語られていた印象です。
たとえば、これから起きるであろうAI導入のような大きな環境変化に備えて新しい組織を創り、そこに社員たちを適応させモチベートさせることなどです。

また、「ウェルビーイング(幸福)」と「サクセス(成功)」は明確に分けて論じられていました。
成功したからといって幸せいなるわけではない。
最近の研究では、むしろ「幸せ」な人ほど「成功」に近づくという結果も出ているのだそうです。

日本では、まだ「働く」ということが「幸せ(ウェルビーイング)」と切り離して語られることも多いように思います。
下手をすると、「働くことは辛いこと。我慢するべきこと」といった文脈でとらえられている場合もあります。

でもそうではない。
働くことは、幸せになるためなのです。
少なくとも、世界の常識はそのようになりつつある。
そのことを確信した3日間でした。

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