正社員は勝ち組?~農薬混入事件に思う
マルハニチログループのアグリフーズ製造の冷凍食品に農薬混入された事件で、契約社員の49歳男性が逮捕されました。
本人は、犯行を認めてはいないようなので、この男性を「犯人」とするコメントは差し控えます。
が、キャリアコンサルタントとして、逮捕が報道されて以来、いろいろなことを考えてしまいます。
一つ、ずっと感じている疑問があります。
この事件、非正規雇用(契約社員)=負け組 vs.正社員=勝ち組という対立構造で語られているようですが、では正社員は本当に勝ち組なんでしょうか?
雇用形態が多様な会社は本当に多くて、研修やカウンセリングで、そうした会社の社員にお会いすることもあります。
「私は優秀さを認められて、正社員になりました!」とハッピーでいるかと言ったらそんなことはなく、辛い思いをしている人が多いのです。
正社員に登用されたのは、確かにありがたい。
ただ、これまで、自分も契約社員として一緒に働き、思いを共有していた仲間から、「なぜあの人だけ正社員に?」と言われ、人間関係が壊れてしまったことは、非常につらい…
これから、契約社員の仲間と、どう接してよいのかわからない
そんな思いをしている人も少なくないようです。
また、正社員だからと、これまで経験したことのないような責任の重い仕事を担うことになり、雇用環境という意味でもつらいとおっしゃる方もいます。
正規社員という雇用形態が、勝ち組=安定的雇用と有利な給与という権利を勝ち得るという構図ではなく、単に「ずっとその会社に勤め続けることが前提」という意味でしかないような社会にならないと、非正規、正規社員、双方が感じている「つらさ」は解消されないような気がします。
現時点の覆うの会社の制度は、正社員と契約社員、どちらも直接雇用でありながら、待遇面で、契約社員の方が「損している」と感じサルを得ない点が多すぎる気がします。
(もちろん、雇用形態だけの差で、待遇面で差のないように努力されている会社もあると思いますが…)
たとえば、私が講師をさせていただいたキャリア研修なども、対象は正社員だけ。
長く働き続ける社員が前提…というのは理屈としてはわかるのですが…
今回の事件を見ても、将来のキャリア設計は、契約社員の人にも必要です。
それを「契約社員は個人の努力でなんとかしろ」というのは、待遇差と受け取られ不満に思われても仕方のない気がします。
せめて、一カウンセラーとして、ご相談に乗れるとお伝えし、自分自身も研鑽していくしかありません。
2014/01/29 | その他、日々のことなど, キャリアコンサルティング・講師の仕事 契約社員, 非正規
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・人として生きる事の素晴らしさを教えて頂き感銘しております。
・私の会社にも正規・非正規・契約・出向がおりますが、難しい問題が多くあります。
会社がなぜこの形態にしなければいけないのか、を考えた上で話をする必要があるのではないでしょうか。
それは、エキスパート志向が大いに影響すると思います。面談⇒スキル、キャリア、どんな仕事をしたいのか、によって研修⇒採用、つきなみな話ですが本人が進みたいエキスパートを応援する会社でなければいけません。
正規・非正規、勝・負けと言わせてはいけないのが会社組織であると考えます。
こめこめちゃんさん
コメントありがとうございます。
雇用形態の多様化は、雇用される側にとっても、本来なら選択肢が増えているわけですから、望ましいはずです。
正規・非正規の雇用形態が、以前と比べていま広がっている背景には、企業側が経済的に合理性があると判断しているからですが、それが非正規側へのしわ寄せであってはならないはずです。
青臭いようですが、雇用形態の多様性の本質を活かし、非正規、正規、どちらも自分が選択したという状態を作っていくのが理想ですよね。
長い目で見れば、それが社員のモチベーションやロイヤリティアップにつながり、企業にとってもメリットが大きいと信じています。
・生きる勇気と、楽しく生きるすべを教えて頂き感銘しております。
ますますの活躍を期待いたします、
?carlinoさんへ
・見て頂いてありがとうございます。私たちの会社も完全な状態では決しておりません。模索の中から企業としてあるべき姿を追及している状況です。
企業側の経済的合理性は経営に必要事項です。が、経理志向が強くバランスが難しいです。 非正規の社員(社員と言わせて頂きます)が優秀です。
・モチベーション、ロイヤリティーについては、目標に対しての付加価値等を社員が納得の程度で称賛をしています。(?)
企業を5年10年周期で破産・企業・組織変更処理する会社もあるやに聞いておりますが、破産ではなく組織拡大・発展的改革で進んでいけば良いかと考えます。
やはり自己目標、将来のテーマ、会社目標を持てる・・持たなければいけない会社であり企業にしていく事こそ大切。
M.kainumaさん
コメントありがとうございます。
お返事が遅くなって申し訳ありません。
最後に書かれていたように、雇用形態の違いを乗り越えるのは、やはり、会社の目標(使命)を働く人それぞれが、自分のものとして感じられることが、もっとも大事なのだろうと思います。
組織の使命と自分の目指すものをどう整合させていくか…キャリア・コンサルタントは、そのお手伝いをしていかなくては、と思っています。
・ご返事ありがとうございます。
キャリアを持って目標に向かう姿はすがすがしい気持ちになりますが、本人の選択はもとより、企業・いわゆる会社の役割と考えます。
・難しい事かもしれませんが、この会社に入りたいを目標に技術、ヒューマン、コンセプチュアルを高めたいと思っています。