新しい働き方とテクノロジーの関係
6月18日に六本木ヒルズでグーグル社が主催したイベント「Google Atmosphere Tokyo 2015」~「働き方のこれから」が、ここで見つかる。~に参加してきました。
Google社の商品やサービスを顧客向けに紹介するのがこのイベントの趣旨ですが、私が参加した2日目の基調講演では、商品説明というより今後の働き方を考える講演をたくさん聞くことができました。
中でも印象に残っているのは、Google japanマネージングディレクターであり、Women@Google Japanチャプターチェアの岩村水樹氏のプレゼン「女性が働き続ける社会へ~テクノロジーで実現する新しい働き方」です。
岩村氏のプレゼンでは、旧来の長時間労働で硬直的な働き方から、柔軟な「スマートな働き方」を実現するため3つの分野での取り組みが必要と主張されています。
その3つとは、「テクノロジー」「制度」「文化」。
その中でも「テクノロジー」は、持っているのに活用されていない現状があるとのこと。
Google社は、そこで自社のサービスを使い、日産、KDDI、広島県庁の3組織とコンソーシアムを組んで取り組んだ「柔軟な働き方」の実験を行いました。
それぞれの具体的な取り組みをあげると、
広島県庁では「スケジューラーを活用したタイムマネジメント」
日産では「全員に在宅勤務トライアル推進」
KDDIでは「会議時間の効率化および既存ITツールの活用」
です。
実験成果としては、参加した社員の会社に対するポジティブイメージが向上、働きやすい職場であるという評価が高まっていました。
私がこのプレゼンで一番「なるほど!」と思ったのは、この実験では「社員のテクノロジーに対するニーズをきちんと把握する」ことから始めていた点です。
テクノロジーの導入というと、えてしてITや技術の専門家が主導することが多く、テクノロジーの先進性などに目が行きがち。ところが、この実験では、KDDIさんなどは、新しい技術ではなく「既存の」技術の活用です。
そこで思い出したのが、20年ほど前に勤務先の通信会社で行った「サテライト・オフィス」の実験。
確か湘南エリアの自社の空きスペースを利用して、近隣に住む社員が通勤、本社とはTV会議などの通信テクノロジーでつないで日々の仕事をするという実験でした。
鳴り物入りだった実験ですが、気が付くとひっそりと終了。
当時の技術レベルでは、なかなか実用に耐えなかったことが本格導入にならなかったと聞きました。
しかし、もしかすると導入されなかった本当の理由は、働く当事者のニーズを重視しなかったがために、そのニーズに答えられなかったからかもしれません。
結局のところ、働く当事者たちが何を望んでいるのか、積極的に声を上げていくことがスマートな働き方を実現するうえでのカギとなるんんだなと感じました。
2015/06/22 | キャリアコンサルティング, キャリアコンサルティング・講師の仕事
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