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森会長の発言で考えたこと~オリパラ組織委員会会長の要件とは?

2021.02.13

2月12日現在、こちらのブログ記事を書いている途中で会長人事についての事態がどんどん動いてしまっていますが、現時点の自分の考えの記録ということで残しておきます。
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東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が「女性がいると会議が長引く。わきまえるべき」といった趣旨の発言をしたのをきっかけに、同組織の会長人事が話題になっています。(昨日2月11日に辞任を表明)

そもそも森さん自身、以前から失言が多くて有名だった人。
なぜそんな人を会長に?とその資質を問題視する意見も見られます。

一方で、自民党幹事長の世耕議員の発言にみられるように「余人をもって代えがたし」と森さんを評価する意見もあります。
実際ラグビーワールドカップの日本招致には多大なる貢献をされたと聞いています。

気になるのは、両者の意見が全くかみ合っていないことです。
そうなった理由は、そもそもオリパラ委員会会長としてどんな要件が求められるのかということと任命のプロセスが明確になっていないからではないでしょうか。

知人に某スポーツ団体の理事を務めている人がいます。
ビジネス界からスポーツ界に転じたその人の説明によると、いま中央競技団体下の各スポーツ団体はガバナンスの改善に真剣に取り組んでいるとのこと。
その一つが、会長など幹部の任命方法の在り方です、
役員候補者選考委員会の設置や選考基準の明確化などがなされつつあります。

ところが、オリパラ員会はそうではない。
大きな理由は他の競技団体が常設であるのに対し、オリパラ委員会は一時的に設けられた団体だからとのこと。あまり理由になっていない気がするのですが…。
事の真偽はともかく、会長の要件が明確ではないので、森さんがふさわしいと思う人も思わない人も、それぞれの基準で主張する。これでは議論はいつまでたってもかみ合いません。

森OK派は、スポーツ界に影響力を持っていること。実際に国際スポーツを招致した実績があり、国際的に人脈があることなどを評価しています。

森NG派は、オリンピック憲章に照らして(もしかして照らさなくても)彼の言動がふさわしくないと考えています。

では、会長の要件は何が求められるでしょうか?

ここで重要なのは、過去の実績は必ずしも将来の功績を保証するものではないということです。
外部環境が変われば、たとえ同じ力を持っていたとしてもそれが通用するとは限らないからです。

そして外部環境は大きく変わっています。
ここ数年の米国政治にみられたようなヘイトや分断に対し、それを許さない機運が高まりつつあります。バイデン政権の誕生はその表れでしょう。

そうした国際情勢の中、なかなか既存のメジャー勢力に対抗する勢力が育たず、その結果、既存勢力の政策の見直しがしにくい日本には厳しい目が注がれています。

(特にジェンダーギャップの解消については、私が女性だからかもしれませんが、厳しい目が注がれているように思います。国際会議などで海外の参加者から「なぜそんなに女性の地位が低いのか?」と質問されたことがあって身のすくむ思いがしました)

したがって、オリンピック憲章の2にも謳われているように 「オリンピズムの目標は、スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てることにある。その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進する」ことを体現することは、これまで以上に重視される要件だと考えます。

そう考えると、やはり森さんは会長にはふさわしくない。
そう判断せざるを得ません。
森さんのこれまでの実績は認めます。正直、ラグビーワールドカップでの彼の貢献を語った記事を読んだときは、それまでネガティブなイメージを持っていたにも関わらず、見直しました。

しかし、それよりも、未来に向けたどんな社会を作り、それにスポーツ界はどう貢献していくのか…それを構想できていないのは、致命的だと思います。

きりがないので、今日はこのあたりでストップ。
また続きを書きたいと思います。

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