ダイバーシティ推進の中でのアンガーマネジメント
2019.10.07
先日、「ダイバーシティ研修」というタイトルで、役職にはまだついていない女性社員向け研修に登壇しました。
具体的には、「アンガーマネジメント」で感情をうまく取り扱う方法を学び、その後に自分も相手も等しく価値あるという前提の「アサーティブコミュニケーション」を学ぶというものです。
ダイバーシティ100選にも選ばれたこの会社。日本企業としては先進的なとりくみをされています。それもあってか、参加者は、半分近くが外国籍の方。
ダイバーシティとはなんぞや、ということを学んでも、今さらと取られることが懸念されたので、ダイバーシティ推進の中でのコミュニケーショんにフォーカスすることにしました。
ダイバーシティというと、今の世の中、「推進すべきもの」となっています。しかし、実際には価値観の違いもあって、軋轢も生じます。
しかし、ややもすると「ダイバーシティ推進」の錦の御旗のもと、そうした軋轢へのネガティブな感情は表に出すことができないまま、誰かが我慢してやり過ごすことになりがちです。
でも、それは本当の意味での「ダイバーシティ」が尊重された姿でしょうか?
少数派であってもその考えが尊重されていることが望ましいはずです。誰かにしわ寄せがあり、我慢させられているのは健全とは言えません。だからこそ、我慢するのではなく、自分の考えを相手に理解してもらうようにする必要があります。
たとえ、最終的な意思決定は思い通りにならないとしても、少なくとも違う意見があることを理解してもらうことが大切だと思います。
そんな思いで臨んだ研修当日、ちょっと嬉しいことがありました。
自社のダイバーシティ推進の「課題」を上げる演習をした際、「女性活躍推進の中で、女性が昇格すると『女活だからだ(実力ではない)』と言われる」というものが出てきました。
そう言っていた参加者が、研修の公判に「ああ、くだらないことを気にするのは時間の無駄ということに気づいたわ」と発言したのです。
アンガーマネジメントでは、イライラする事柄を「重要か/重要でないか」「変えられるか/変えられないか」で分けて、どのように行動するかを考えます。
女性が昇格することについて、とやかく言われるのはいらっとします。
でも、そのことで、何か直接被害や迷惑を受けるでしょうか?
あるいは、そういうことを言う人の口に蓋をすることができるでしょうか?
やっかみを言う人は、性差だけでなく、たとえば学歴や偉い人との関係などについても、何かしら理由を見つけて「やいのやいの」いうのが通例です。だからといって、何か実力行使に出るような人はほとんどいません。
だとしたら、やっかみを言われることを気に病むより、もっと私たちの人生には大切なことがあるはず。そこに集中したほうが、人生はずっと前向きに過ごせます。
自分の人生に何が大切か?
とやかく言う相手を変えることができるか?
何か嫌なことを言われたときに、ちょっと考えてみてください。
研修を通じて、そんな発想転換をして前向きになられた様子が、とてもうれしく感じられました。