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ダイバーシティ推進者が心折れる理由

2024.04.21

THE WELL-BEING WEEK 2024

怒涛の3月が過ぎました・・・
なんだか腑抜けたようで、ブログもまたしばらくご無沙汰していました💦

前のポストでも書きましたが、3月は「THE WELL-BEING WEEK」というシンポジウムの実行委員として参加。ユニバーサルデザイン(UD)チームとして取り組んできました。

「誰もが参加しやすい環境を整える」のが目的。このイベントでの「ダイバーシティ&インクルージョン推進担当」ともいえるかも。

自分で立ちあげたUDチーム。やりがいも感じていました。しかし、イベント直前には何度か「もう担当を降りてしまおうか…」と感じました。少なくとも来年は「もうやりたくない」と思っていました。各方面の調整が大変だったのです…。

昨年までは、オンライン配信に字幕をつけて対処してきましたが、今年、メインの講演会に手話通訳の導入を試みました。
というのも、生まれながらのろう者にとって、多くの場合、ネイティブ言語は「手話」であり、日本語は、第二外国語のようなものだと知ったからです。

そのことを私は「マイノリティ・マーケティング」という本を読んで知りました。著者の伊藤芳浩さんは、「インフォメーションギャップ・バスター」という社団法人の理事長。たまたま以前、別のイベントを通じての知り合いでもあり、実行委員にお誘いして、手話導入についてアドバイスいただくことにしました。

どんなに目的がよいものであっても、実行するのは難しい。そこに時間や稼働、お金と言った「コスト」が発生し、それは言い出しっぺの人間一人で請け負うことはできません。いろんな人の協力が必要ですが、コストが大きくなれば受け入れるのも難しくなります。まして無償ボランティアであれば。

たとえば手話通訳を行い、それを配信するには配信担当との技術的な調整が不可欠です。ずいぶんと骨折りをお願いしてしまいました。

それでも、そういった調整は、実現して喜んでくれる人がいると思えばがんばれます。

一番しんどいのは、「喜んでほしい」と思っている人たちから批判されることだと思うのです。

各部門と調整する中で、なかなか理想通りにできないところも出てきます。無償ボランティアの限界もあります。そのことについて、企画している自分も忸怩たる思いを抱いています。それでもできる限り何とかしたいと思っているところに、当事者の人から「これでは十分ではない」と言われると、残念を通り越して悲しくなってしまいます。

誤解しないように言うと、今回、手話通訳を導入するにあたって、当事者であるろう者の方に特に批判を受けたわけではありません。ただ、「こうはできないか?」と依頼されたことが実現できないと、申し訳なさに身が縮む思いがしました。

ダイバーシティ推進をする上で、良かれと思って取り組んだその相手から、批判されることは本当にしんどい。それで「もうやっていられない」と、心折れる人もいるだろうなあ…と感じたのでした。

そんな時に思い出したのが、「男女雇用機会均等法」の成立に力を尽くした赤松良子さんです。同法の成立にあたっては産業界から大反対にあいます。やっとできた法律も、規定の多くは努力義務にとどまり、女性たちから「不十分」と批判を受けたそうです。しかし「ゼロと1は大きく違う。小さく産んで大きく育てる」と先を見据えて、まずは成立させようと尽力されました。

赤松さんの取り組みに比べるべくもない小さな取り組みですが、まずは実現することが第一歩。そんな思いで手話通訳の導入とリアルタイム配信を実現。また、後天的なろう者には日本語字幕も必要とのことで、なんとか字幕+手話の環境を実現できました。

実行委員の皆さんが、あきらめずに取り組んでくれたおかげです。来年以降につなげていきた…今はそう感じています。

 

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