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ダイバーシティのジレンマ3 ~クロスロードゲーム ダイバーシティ編

2018.07.13

先日、職場等で起きるダイバーシティに関するジレンマについて考えるゲーム「クロスロード」の体験会に参加してきました(主催:株式会社クオリア)。

このゲームは、もともと大災害の時に生じるトレードオフの意思決定を題材に開発されたものです。
※詳細はこちら

ある事象を取り上げ、参加者グループでそれに対してYes/Noの判断を示します。
さらに、その判断の理由を述べます。
自分では「これは当然Yesでしょ」と思っているような事象であっても、様々な判断があることへの気づきを促します。

「いっせいのせ!」で判断を示すため、他の人の様子を見てから意見を述べるということはできません。

興味深いのは、同じYes/Noの判断であっても、その背景にある理由はさまざまであること。
多数派だった人はポイントをもらえるのですが、理由を述べることで、単純な多数決での勝敗に陥りません。

もう一つ面白いのは、グループの中でのYes/Noの判断が、ただ一人だった場合もポイントがもらえるということ。
そこには、たとえ一人だけの意見であっても、その意見を尊重されるという思想があります。

ゲームは、最終的にポイント数を競うのですが、体験会ではさらにその後、「クロスノート」という演習を行いました。
自分自身で、判断に迷うような事象を考え記述するのです。

私は、不妊治療と仕事との両立について、以下のようなケースを考えました。
ゲームで、どんな事象を取り上げて判断しているかの参考となるので、ちょっと長いですが、ご紹介します。

「40歳の女性で、現在ある会社の管理職。2年前から不妊治療中。会社からある大きなプロジェクトの責任者の打診を受けた。前々から希望していた仕事だが、社内外の折衝など、予定が立てにくくなる。あなたはこの打診を断るか?断らないか?」

このケースを、自分のグループメンバーに問うたところ、Yes(断る)が3人、No(断らない)が2人という結果になりました。

断る派は、年齢から考えて、今は不妊治療を優先すべきだというもの。
断らない派は、不妊治療が成功するかはわからないから、先のキャリアのチャンスを無駄にしない方がよいのでは、というもの。

ちなみに、「断る派」は全員男性。
「断らない派」は全員女性でした。

判断の違いの理由を安易に性別に求めたくはないですが、不妊治療については、女性の方がより強く、ジレンマに悩む傾向を示しているように思います。

事例には字数制限もあるので、細かな設定は書けず、参加者は書かれたことだけから詳細を想像するしかありません。
この事例では、たとえば「女性管理職の草分けで、後輩女性のロールモデル的な立場である」とか、
「このプロジェクトが成功したら、女性初の執行役員昇格の確度が高まる」といったことも考えられるかもしれません。
その時、成功が約束されているわけではない不妊治療を優先するか?
いろいろな方の意見を伺ってみたいところです。

また、私が考えた事象は、当事者の意思決定についてでしたが、管理者等の責任あるポジションとしての判断を求める事例もありました。
当事者であれば、意思決定の結果は自分で引き受けられますが、管理者はその判断について、組織の関係者全体に影響が及びます。
管理者としての責任の重さも実感できるゲームでもありました。

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