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意に沿わない転機を乗り越える「マイ・コンピテンシー」

2019.08.02

〈コンピテンシー研修のために泊まった出張先のホテル〉

先月は、ある企業のコンピテンシー浸透のための研修に続けて登壇しました。人事制度見直しに伴って開催された、主に管理職とされた階層の人全員を対象の研修です。

人数も多いので、複数の講師でクラスを分担しました(ちなみに、ここではコンピテンシーを「高い成果を安定的に出すための行動」とここでは定義しています)。

人事制度の見直しによって、参加者の中には思いがけない役職の変更を体験した人も少なからずいました。

例えば、マネジメントとして部下を持っていた人が、専門職として部下を持たなくなり期待役割も変わったといった変化です。

その変化は、ご本人にとって必ずしも望ましいものではありません。私の担当するクラスでは見られなかったのですが、他クラスでは反抗的とも言える態度をした人もいたようです。

私も会社員時代に意に染まぬ異動などを経験しました。最もショックだったのは、やはりマネジャーから降格された時のことでしょう。

ショックが大きく、会社に行くのもやっとでした。そんな目に合わせた上司に対して、どう振る舞って良いのか、わからない状態でした。

あんまりだ点という思いが嵩じて、上司や会社を訴えようかとも思いました。仕返ししてやりたかったからです。

実は、それからしばらくして、ある人からその時の私を褒めてもらえることがありました。

「ヤケになってもおかしくない状況だったのに、いつもと変わらず、明るく前向きに仕事している様子に感嘆した」と。

仕返ししてやりたいとまで思ったけれど、それはせずに踏みとどまったのは、なぜだったのかは自分でもよくわかりません。

でも、どう仕返ししてやるかを考えるとかえって辛くなるので、そこから逃れようと取り組んだのが、キャリアカウンセラーの資格取得です。

そんな風に決して前向きとは言えなかった私を評価してくれたことが、思いがけずに嬉しかったのを思い出しました。

それから私にとって、「辛い時でも仕返しではなく、ありたい未来のことを考える」という行動が「マイ・コンピテンシー」と勝手に呼ぶようになりました。

私の場合は、会社で定めた期待行動を、そのまま自分のコンピテンシーにしたわけではありません。でも振り返るとどこかで影響を受けていたように思います。

今回の研修で扱ったコンピテンシーも、もしかすると誰かにとって、転機を乗り越えるヒントになるかもしれません。そうなったらよいなあ…と願いを込めて登壇しました。

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