研修での成果を高めるポジティブアプローチ
2018.05.22
先日登壇した新入社員研修では、ちょっと変わったアプローチをとりました。
通常、研修では、受講者に対して会社が期待する姿と実態とのギャップを自覚させ、そこを埋めるというアプローチをとります。
学習意欲を刺激するために、講師は受講生の「できていないところ」を厳しく指摘します。
しかし、今回の研修のアプローチはちょっと違いました。
講師が「ここができていない」と指摘する前に、どこができていなかったのかを受講者に考えてもらいました。
自分だけではなく、チームメンバーそれぞれに対し、どこが足りなかったのか、逆に良かったところはどこか…を伝えていったのです。
(その前提として、研修前半は、ちょっとハード目な演習課題に挑戦してもらっています)
結構、「教える」ことを生業としている講師としては、受講者の考察に「任せる」というのは辛いものです。
「もし、彼があそこでうまくいかなかった点に気づかなかったらどうしよう?」
「彼女は自分が失敗一方だったと思っていないだろうか?うまくいったところもあったのに…」
そんな思いが頭の中を渦巻きます。
そんな心配は杞憂でした。
私が予想していた以上に、深く考察していたのです。
特に印象的だったのは、前半で明らかに他のメンバーにただ乗りしていたように見えた受講生が、「もっと自分にもできることがあったはずだ」と発言していた点です。
実際に、彼は後半は見違えたように、率先して発言したり、他の受講生に働きかけていました。
講師や、あるいは上司など、社会的に上位の立場にいると、相手を「評価」の目で観ることが多くなります。
そこでは、足りないところやできていないところについ目がいきがち。
今回の研修も、彼らの自省に任せた時間がなければ、「●●さんはただ乗りしていた」「□□さんはやる気が見られなかった」と評価していたでしょう。
一度、評価してしまうと、せっかく相手が行動を改めようとしても、こちらには伝わりにくくなります。
もし私が彼らの上司で、ずっとその目で見ていたなら、彼らにそれは伝わりますよね。
そうなると、お互いの信頼関係を築くことは難しいでしょう。
評価そのものは、役割としてせざるを得ません。
が、「決めつけない」「相手の可能性を常に信じる」ことを忘れないでいなくては・・・と思いました。
(だって、その方が、相手の成長を感じられて講師としても楽しいですしね)