【掲載情報】いま「オスカル」という生き方を考える
2017.02.08
1970年代に一世を風靡した少女漫画「ベルサイユのばら」について寄稿しました。
■オスカルという生き方。~ベルサイユのばらが半世紀経っても新しい理由~
私は「ベルばら」ファンです。
いえ、正確には「ファンでした」と過去形でいうべきかもしれません。
「ベルばら」の世界に触れたのは、小学校4年生ぐらいの時だったと思います。
当時、大阪に住んでいたこともあり、宝塚歌劇の影響でこの物語のことを知りました。
ごたぶんにもれず、時間を忘れて夢中になって読んだものです。
乏しいおこずかいでは全巻をそろえることはできず、図書館で待ち行列を作りながら、読了しました。
ただ、その後、あのきらきらした、以下にも少女漫画風な世界とは少し距離を置くようになりました。だから、その後に生まれた「Kids」や「カルタ」などは、触れることなく何十年も過ごしたのですが…
一昨年から始まった、新シリーズを無視することはできませんでした。
なぜなら、それまでの付随的に生まれた商品とは一線を画し、本編では描き切れなかった後日談や隠されたエピソードが描かれていたからです。
あれほど夢中になった世界を、さらに豊かなものにしてくれると感じたのです。
しかし、この1月に出版された13巻は、正直「あれ?」と思わされました。
物語の半分以上が、本編の繰り返しだったからです(ご丁寧にも再掲にあたる部分がどれだけか、ページを調べちゃいましたよ)。
逆に、あまりに重複が多すぎて、なぜわざわざ今になってこの物語を作者の池田理代子さんが描こうとしたのか、その意図が気になってしまいました。
オスカル自身が、いまあえて、自分の人生をきちんと肯定させたいと思われたのではないかなと。
そして、うがった見方かもしれませんが、作者の池田理代子さんご自身も、3回の結婚や漫画家からオペラ歌手への転身などを経験されたご自分の人生を肯定しようとなさっているようにも思えるのです。
そして、無意識のうちにオスカルの生き方に影響を受けた私自身も…。