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【レポート】歌舞伎でキャリアを考える講座開催しました

2016.07.04

7月2日、歌舞伎座でまさに初日を迎えた日、神楽坂にて「オンナが観るオンナの歌舞伎」講座を開催しました。
4月の「春の会」に続き「夏の会」に位置付けられる今回は、7月に上演の「荒川の佐吉」を取り上げました。
講師は、4月と同様、歌舞伎ライターの仲野マリさんです。

私は「歌舞伎はキャリアを考える上での非常に有効な素材なのでは?」と思っていました。
そんなときに、マリさんの講座に参加する機会があり、マリさんの意図に関わらず(^^♪、「マリさんの話を聞けば、キャリアについて考えるよいきっかけとなる!」とピンときたことから、講座をコラボ開催することにしました。
まあ、はっきり言って、私の趣味と実益を兼ねたセミナーです(^-^;

この作品、舞台は江戸時代ですが、書かれたのは昭和7年。
「新歌舞伎」と言われるジャンルのもの。

「末は棟梁か」と言われるほど腕がよかったのに、実力主義の世界にあこがれて大工からヤクザとなった佐吉を主人公に、
その親分の仁平衛、仁平衛の娘であるお新とお八重、
お新の子供である卯之吉たちの人間模様を描いた作品です。

この講座では、あらすじとこの作品の成立した背景を説明した後に、主な登場人物の立場に立って、「自分だったらどう行動するか?」を考えます。

たとえば、お八重の場合。
大親分の仁平衛の娘として育てられたのに、父親は敵になわばりを奪われ没落。
そんな時に姉のお新が産んだ子供、卯之吉が盲目であったことから、大店から縁を切られ、仁平衛が引き取ることになります。
仁平衛は娘のお八重に、「お前がお新の代わりに育てろ。三下(使い走り)の佐吉と夫婦になって」と命じます。
あなただったらどうしますか?

実はこの作品、観たときに大泣きに泣いた私ですが、どうしても腑に落ちないところがありました。
それはラストです。
佐吉は、自分で卯之吉を引き取り、愛情たっぷりに育てます。
紆余曲折の後、佐吉が仁平衛親分の仇を取り、その後目を継いで親分になるのですが、最終的にはその座を投げ捨てて、旅に出てしまうのです。

えー?それって組織の長として、ずいぶん無責任ではないの?
子分だってたくさんいるのに、彼らや縄張りはどうするの?
それが私の疑問でした。

でも今回の講座を通じて、佐吉の最終決断に納得できました。
彼は、トップに立って、初めて自分が望んでいたものがわかったのでしょう。
彼が本当に求めたものは、組織の長になって采配を振るうことではなく、自分で育てた卯之吉の幸せ。
だから、大店の本妻になった母親のもとに引き取られたあとは、ヤクザの自分との関わりを、できるだけなくしてしまわなくてはならなかったのです。

子どもの幸せとは?
組織を上ることの意味とは?
格差とは?

自分のことのみならず、社会問題まで考えさせられる、充実の時間となりました。

▼参加者の感想
・初めての参加でしたが、初心者用に細かくご説明いただき、楽しくますます興味が出ました!(K.Nさん)
・丁寧に解説いただき、興味深かったです。(M.Tさん)
・講師の物事の本質を見極める視点、物語の背後にある人物の感情を思いやるイマジネーションがすごい。(Y.Nさん)
・初心者には基本的な歌舞伎観劇の方法がわかるし、慣れた人でも違った視点で考えることができますね。(R.Kさん)

次回は、10月15日(土)に開催予定です。
今のところ、橋之助丈の襲名公演で上演予定の「盛綱陣屋」を取り上げる予定です。
詳細が決まり次第、メルマガでご案内します!

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