読書感想文「トランジション–人生の転機を活かすために」
2015.10.14
メールマガジンでもご紹介しましたが、
この本は、欧米でキャリア開発の世界で定評を得ているブリッジズ氏の著書。
彼は人生の転機を以下の3段階に分けて説明します。
第1段階……何かが終わる
第2段階……ニュートラルゾーン
第3段階……何かが始まる
「転機」というと卒業や就職といった他の人からもわかりやすい外形的なイベントをすぐに思い浮かべますが、
この本では特に「内的」な変化に焦点を当て、それぞれの段階でどんなことが起こり、
私たちがどう対処すべきかを説いていきます。
特に私が印象的だったのは「第2段階 ニュートラルゾーン」について書かれている部分。
ここでブリッジズ氏は、静かに内省の時間をしっかりとる必要性を訴えています。
転機が訪れたとき、私たちはえてして次のステップに進まなければと焦りがちです。
なかなか次のキャリアを選べない自分を「ふがいない」と責めてしまうことも…。
ブリッジズ氏は、以下のように述べます。
「…だから、あなたはひとりになって、一見、無目的な行動をとる。
そうすることによってのみ、「自己変容」という重要な内的活動に従事することができるのだ」
「自然に展開しているあらゆるプロセスがそうであるように、
ニュートラルゾーンもしかるべき時間を要する」
私自身も、大きな転機を迎えたとき、停滞していると感じた時期が数年ありました。
ブリッジズ氏は、この期間、日常を離れ一人になることを勧めてしますが、
私自身は一人になるより、ふだん接点のない人との交流によって
自分のことを見直すことになりました。
いずれにしても、それまでいた社会(=勤務先)にいてはわからなかったことに気づくきっかけとなります。
「第一段階 何かが終わる」際には、過去への決別による強烈な痛みが伴います。
その痛みを癒し、自らの方向性を見出し、
そして第3段階に進むためにエネルギーを養うための期間であるように思います。
もしいま、あなたが転機のさなかで、何も進んでいない、空虚な状態であるように感じているとしたら、
それは実は、必要不可欠なプロセスなのです。