女性の健康イニシアチティブ(WHI)設立シンポジウムレポート
2017.09.21
先日、永田町で開催された「女性の健康イニシアチティブ(WHI)設立シンポジウム」に参加してきました。
一般社団法人シンクパールさんが発起人となり、特に企業で働く女性たちの「婦人科系検診」の啓発・推進を目的とした企業間コンソーシアムのキックオフです。
総務大臣でもあり、女性活躍担当大臣でもある野田聖子氏はじめ、ビジネス界を代表する人たちが登壇されました。
※それぞれの講演内容は、ぜひこちらの記事をごらんください(Japan in Depth9/17)
私自身が身体を壊した経験が今の仕事につながっていることもあり、この取り組みには興味津々。
特に印象的だったのは、ダイバーシティと健康維持が強く結びついているということでした。
NPO法人日本医療政策機構 代表理事の黒川先生は、海外と日本の事情を比較しながら、日本の多様性を許さない社会的背景を指摘。いわく、「転職もネガティブなイメージがまだ強い(←特に大企業の事だと思いますが)」「正式な結婚の絶対視」「外国では普及している企業幹部の女性比率を定めたクオータ制導入が議論に上らない」
こうしたことが、自分の体調が悪くなっても、「自分は我慢したからお前も我慢しろ」的な同調圧力を呼んでいることを示唆されました。
これは私も似た経験があります。
不妊治療したいので、営業から時間のコントロールが効きやすい内勤への異動希望を出した際、一方的に総合職から一般職への転換を申し渡されたのです。「治療で体調不良になり、仕事に影響を来すから」というのが理由でした。そしてその根拠は、上司の知り合いがそうだったからというものでした。上司の一部の事例からの推測からの判断で、私が実際に治療を受けて、仕事に支障を来したからではありません。
不妊治療に限らず、病気や治療に伴う反応は非常に個別性の強いものです。
上司の知り合いの例を私に当てはめることは納得がいきませんでした。
また、内勤とはいえ、私が希望したのは当時の部門のマーケティング機能のてこ入れ。
そこに主体的に関わる意思もあり、勤務時間を短くしてほしいことや業務の軽減を望んだわけではありません。
治療時間の融通が利くことのみ希望していたのです。
そのことを強く主張した結果、一般職への転換は撤回してもらいました(マネジャー職からは降格になりましたが)。
人は、自分の経験の範囲で物事を判断してしまうものだなと痛感。私という個人が言うことを聞いてもらうのは実は思いがけない困難があるのです。
他人からの圧力を防ぐのはもちろん重要ですが、意外と見逃されがちなのは、自分が自身の状況に向き合わないケースではないでしょうか。
これは私自身の体験に基づく感覚ですが…。
30代に入ってすぐ、生理時の異常な出血量などから、子宮筋腫があることは自覚していました。
しかし、貧血になっても、生理が重くて日常生活に不便をきたしても、「今忙しいし」「私が抜けたら他の人に迷惑だし」と、ごまかし続けてしまったのです。振り返ると、不調を筋腫とつなげて考えることを避けていた気もします。
ある時、お腹の腫れが尋常ではないことを内科の医師に指摘されて婦人科を受診。このままだと妊娠できないレベルといわれ、ようやく本格的治療に取り組みました。出産可能年齢ギリギリである危機感がなければ、ずっとごまかしていたままだったかもしれません。
一番反省したのは、取り出した筋腫の細胞検査の結果、悪性(肉腫)に近い性質のものであったことを指摘された時です。
腫瘍のことを、良性/悪性といいますが、その境界線はグラデーション状で、どこかできれいに区分できるものではないんですね。
そんなわけで、手術の後、細胞を精密に検査する必要があり、入院が長引きました。
「悪性かもしれない」と告げた医師から「笑い事じゃない」と叱られた私。笑ったつもりはなかったけれど、無意識に苦笑いするしかなかったのです。そのあと、ちょっぴり泣きました(^^;
私の場合は、肉腫ではなく、大事に至らなかったのですが、もし命に関わる状況に陥ったとしたら後悔してもしきれなかったでしょう。日々の自分の身体に向き合う必要性を痛感したのでした。(その後、反省を生かせず、次はメンタル不調になっちゃうのですが(^^;)
そんな経緯があるので、キャリアやメンタル面での相談にのるなかで、体調の話が出ると、ついおせっかいに口が出てしまいます。
たくさんの人が、自分の不調と正面から向き合うことを恐れているように思えるのです。
その恐れは当然です。病気で仕事に支障を来したら?仕事を辞めなくてはいけなくなったら?…何とか今のままでやり過ごしてしまおうとする。
でもですよ、やり過ごしても良くならないのですよ。たいていの場合。良くなった気がしても、そのツケは後々あらわれるのですよ。
組織が一人一人の体調の違いを受け入れて、体調不良でもキャリア上の不安を感じないように対応できるようになったら、不安を感じずに、自分の身体に向き合う人を増やすことができりるかもしれない。
そんなことを感じたシンポジウムでした。