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原著読書会でキャリアコンサルタントの役割を考え直した

2023.03.23

書きかけたまま、すっかりブログがご無沙汰になっておりました…。


年が明けてから、仕事もまあまあ忙しかったのですが、今年度の学びのクライマックスが次々と来て、そのクロージングに忙殺されておりました。
学んだだけで終わりにせず、ちゃんと振り返らないと…ということで、改めてブログに記しておこうと思います。

昨年9月から定期的に、キャリアコンサルタント仲間の読書会「原著で学ぶ、キャリア支援者に必要な多文化コンピテンシー Gaining Cultural Competence in Career Counseling」に参加しました。

発起人は、キャリコン仲間の野々垣みどりさん。学会や大学の先生として、そして企業へのコンサルティングでも大活躍されています。

それ以外のメンバーも、キャリアコンサルタントとして現場第一線で活躍している人ばかり。たとえば、人材派遣会社で抱いた課題意識をもとに、非正規雇用の女性の支援をする会社を立ち上げたり、安定した大学教員をやめ、企業のダイバーシティ推進事業に舵を切られたり…

この読書会で取り上げたのは「Gaining Cultural Competence in Career Counseling」。米国で活動するキャリアコンサルタンタントに必要な多文化理解について述べられた一冊です。

原書も、比較的わかりやすい英語ではあるのですが、このボリュームを定期的に読み進めるのは私の英語力では難しく…主催者のみどりさんが日本語訳を作ってくださり、それをもとに仲間同士でディスカッションを進めました。

アンコンシャス・バイアスを研究している身からすると、内容についてはそれほど画期的に新しいことはなく、「ふんふんなるほど…」と読み進めていました。

日本では、あまり着目されていない人種の課題の事例をもとに、「日本ではどうなのか?」と話が進みました。

実は着目されていないからこそ、潜在化し見逃している危険があるのではないか?
もしクライアントでそうした人がきたら、適切に対応できるか?
…そんな話に展開していきました。

「人種」は典型的な文化的多様性のひとつですが、キャリアコンサルタントは日常的に、自分と異なる文化や価値観に接しています。私が北海道に来て、地域性の違いなども感じます。逆に行くと、東京や首都圏が特別なのかもしれません。

これは私の反省ですが…
人材紹介会社で相談を受けていた際、若い総合職の女性が予約していると「あ、また、『長く勤めたいから、人に貢献することが喜びだから一般職に転換したい』という人か…」と思い込んでしまうことがたびたびありました。

しかし、実際に話を聞いてみると、必ずしも心から補助的な仕事をしたいと思っているわけではなく、本心のところでは、できれば第一線でキャリアを積みたいという希望を持っていることもありました。「一般職ですね」という思い込みで対応していたら、今後の彼女のキャリアにどんな影響を与えていたかと思うと、ぞっとします。

さて、この本の素晴らしい点は、キャリアカウンセラーの役割を、個人対個人のレベルとどめていないところです。「社会正義」への役割について、章を割いて言及しているのです。

最終章から抜粋します。

「Social Justice(社会正義)カウンセリングは、クライエント一人ひとり、そして地域社会、さらには国家や国境を越えて、キャリアの領域で虐げられ続けているすべての人々に対するあらゆる差別をなくしていこうとするものであると言えます。社会正義のキャリア・カウンセリングは、キャリア形成における教育、雇用、昇進などにおける差別の撤廃を目指すものです。このゴールを実現させるために、ソーシャル・ジャスティスのキャリア専門家と実践家は、以下のような活動に尽力することになるでしょう。」

国家資格キャリアコンサルタントの役割は、個人への働きかけのほかに「環境への働きかけ」と定義されています。そこには「社会正義」実現に取り組むことがうたわれているのです。

ところが翻って、「社会正義」を実現するための方法論は、個人への対応に比べて、資格取得講習ではあまり時間が設けられていないのが現実です(私が取得したのは10年以上前ですが、最近の話を聞いてもおそらくあまり変わっていないようです)。

2015年に東京で開催されたアジア太平洋キャリア開発協会(APCDA)の大会で、すでにヨーロッパから、「社会正義」に果たすキャリアコンサルタントの重要性が発表されていました。このとき、海外では大きな視点で取り組みが展開されていることに、興奮したことを改めて思い出しました。

「社会正義」を意識し、行動する結果、キャリアコンサルタントの存在価値をもっと高めることができるように思います。そのためにも、こうして仲間で学びあい、刺激を受けることが重要ですね。

引っ越したこともあり、キャリアコンサルタント仲間との集まりも減ってきていました。改めて声をかけてくれた仲間に感謝いたします。

 

 

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