「わきまえる」を脱ぎ捨てて。怒りをパワーに変えるアンガーマネジメント
2026.03.09
映画『女性の休日』にまつわるお話の続きです。
1975年10月24日、アイスランドの女性の9割以上がいっさいの仕事をストップし、自らの存在価値をアピールしました。その背景にあったのは、自分たちの価値が軽視されていることへの、静かですが大きな「怒り」です。
ここで大切なのは、「怒りは抑え込むべきものではなく、変革のパワーになり得る」ということです。 アンガーマネジメントでも、「怒りは抑え込むものではない」「誰かを攻撃するのではなく、改善へのエネルギーに変えうるもの」と伝えますが、まさにアイスランドの女性たちはそれを体現しました。
しかし、世の中には依然として「怒りを表に出すこと」自体を否定的に捉える傾向があります。特に女性に対しては「穏やかで優しくあるべき」というジェンダー規範が強く、それが抑制に拍車をかけています。 映画『ドリーム』や『未来を花束にして』でも、家族が行動を起こそうとする女性を「女らしくない」と引き止めるシーンが描かれています。この場合の「女」とは、実際には「妻」や「母」と言った家族内での役割を意味しています。家族は味方ではなく、抑え込む存在、役割を押し付けるものとして描かれました。
そして、こうした規範は私たち女性自身の心の中にも深く根を下ろしています。 「こんなことをしたら女らしくないと思われるかも」「良き妻・母なら我慢すべきではないか」……。
こうした抑制的な振る舞いを美徳としたのが、「わきまえる」という言葉でしょう。数年前、この言葉は森元首相の発言で話題になりました。その時に私たちは気づいたはずです。「わきまえて」ばかりいては、何も変わりません。「わきまえる」という言葉は、文脈によっては「その時のパワーのある人(マジョリティ)の規範に合わせる」とい意味を帯びてしまうからです。
アイスランドの女性たちのように、時にはユーモアを忘れず、誰かを攻撃するためではなく、より良い未来を創るための「行動」へ。そのエネルギーとして、怒りと正しく付き合っていきたいものです。
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