「誰かの犠牲」が前提ではないダイバーシティを 「朝日新聞」取材を通じて
2020.05.26
5月24日の朝日新聞朝刊「Aging Gracefully」にインタビュー記事が掲載されました。メールマガジン読者の皆さんにも協力をお願いした「職場における子どものいない人の現状調査」の結果が、一部取り上げられています。
これは、今年の初めに「マタハラネット」創設者である小酒部さやかさんや、不妊治療経験者の相互支援団体であるFine理事長の松本亜樹子さんとともに取り組んだ調査です。
この調査には、昨今の「ダイバーシティ・インクルージョン」に対して、忘れていることはないか?という疑問がありました。
「インクルージョン」というのは、「包括」という意味で、それは「排除しない」ということになります。
ダイバーシティを語るとき、マイノリティの活躍推進の文脈で考えられる機会が多いです。そのことは否定するものではありませんし、むしろ推し進めたいと思います。
しかし、その「活躍」は、別の誰かにしわ寄せすることで成り立っていないでしょうか。
この調査で見られたのは、「子どもがいる人」のカバーを「子どもがいない人」が強いられている状況です。
たとえば、フレックスタイムなどの制度が取れない、という声が寄せられました。
(もちろん全員ではありません)
しかし、「子供のいる人も働きやすい環境を」という正論の前には、なかなかネガティブな気持ちを口に出すことははばかられます。
まして、自分の中に、子供がいないことへの後ろめたさがある場合は余計、表に出せなくなるでしょう。
その結果、「しわ寄せを受けた」人は、その組織の中で肩身の狭さという思いを強くしていきます。
これでは「インクルージョン」とは言えません。
「子供がいない人」は一例です。
そのほかにも、発達障害の人に対し、その同僚の人が当人の業務のサポートに追われ、疲弊した結果、メンタル不調に陥る例もありました。
これは個人の問題ではなく、特定の誰かにしわ寄せをして事なかれに済ませている、マネジメントの問題と思います。
「誰もが」を意識することが、本来の意味でのダイバーシティ&インクルージョンの鍵だと信じています。
今回の記事は、大人の女性の生き方という面から取材いただいたので、ちょっと論点は異なりますが、ご一読いただけたら幸いです。
その他の記事も、「大人の生き方」について、かなり考えさせられます。
ネットでも読めます。ぜひご覧ください。