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ドラマ「カムカムエヴリバディ」にみられる女性社員成長の秘訣

2022.06.02

NHK の朝ドラの 前作「カムカムエヴリバディ」が終了して暫く経ちます。今更かもしれませんが、どうしても書き留めておきたいことがあるので、書いておきます。

 というのも、主人公の女性の成長過程の描き方が、丁寧で納得できるものだったなあ…と感じることがしばしばあるからです。

「カムカム・エヴリバディ」は3世代にわたって、3人の主人公が描かれてましたが、ここでは、3人目の主人公「ひなた」について取り上げます。
というのもひなたは 1965年生まれ。実は私と同い年です。そうした意味で、同じ時代を生きてきたことによる共感を覚えるからです。

主人公のひなたは、高校を卒業して「条映映画村」に就職。その後、40歳を過ぎてから米国留学し、今は映画のキャスティングディレクターとして活躍中という女性です。

若いころに映画村で出会った俳優と長年交際するものの、結婚には至らず。「歴代の朝ドラの中で結婚もしない女性は少ない」と自分のこと評するシーンもありました。

世界を股にかけるキャリアウーマンとなったひなたですが、学生時代は決して優秀な学生というわけではありませんでしたし、キャリア意識が高かったわけではありません。

夏休みの宿題はいつも最終日ギリギリに着手。友達に助けてもらってやっと終わらせるような学生でした。どちらかというと「劣等生」と言っても良いぐらいです。

そんなひなたが、英語に堪能で世界的に活躍するキャリア女性となった…このことに、もしかして無理があると感じた視聴者もいたかもしれません。

でも私は、納得しました。なぜなら、その成長過程がドラマの中でがしっかり描かれていたからです。鍵となるのは、ひなたの上司です。

ひなたをとりまく「上司」として、すぐに思いつくのは、折節にひなたに含蓄のある励ましの言葉をかける大部屋俳優、伴虚無蔵が思いつく人が多いかもしれません。彼の存在も重要ですが、私はそれよりも、日向の直接の上司であった「榊原」が印象に残っています。 

ひなたが入社して配属されたのは、 映画村のイベントや販売促進の施策などを企画する部署でした。榊原は、そこにもともといた少し年上の男性です。

彼は、ひなたのことを常に「大月さん」と、苗字にさん付けで呼んでいました。若い女性によくあるように、「ひなたちゃん」と「ちゃん」付けするでもなく、呼び捨てでもなく、あだ名で呼ぶわけでもない。

「〇〇ちゃん」という呼び方は、いうまでもなく子供に対しての呼び方です。会社でそう呼ばれることについては、親しみがこもっているとは思うものの、仕事をする人間として尊重されているとは感じにくいかと思います。

 呼び方というのは相手に対する敬意を表わします。 苗字にさん付けで呼ぶことで、部下のひなたのことを、新入社員の頃から一人前として経緯をもって扱っているように私は感じました。 

また、仕事の面でも、ひなたに映画村の業績回復の施策の企画を練るように依頼するなど、単なる アシスタントとして見てはいないことが描かれていました。ひなたの案についても真摯に耳を傾け、企画したひなた自身に実施まで任せていました。 

当時(今も、かもですが)、働く女性の環境は決して「活躍を期待さられる」というものではありませんでした。男女雇用機会均等法が施行されたのが1985年。 ひなたが就職してから2年後のことです。「総合職」として入社した少数の女性がニュースになった時代です。逆に言うと、ひなたが就職した頃は、ほとんどの企業で、女性はまだまだ、補助的な仕事をするもの、男性のサポートをするという位置づけでした。ましてやひなたは高卒。学歴から考えても、現実には企業の中で現場業務や補助的役割に従事することが多く、企画業務を担当することは数少なかったと思います。

そうした時代背景を考えると、榊原が高卒女性にもかかわらず、日向に仕事を任せ「大月さん」と呼び続けたことが稀有であったといえます。ひなたも、上司が自分のことを一人前として尊重し、期待していることが伝わっていたからこそ、その期待に応えようと頑張れたのではないでしょうか。

日向の飛躍的な成長は、上司の榊原が、ジェンダーや学歴などにとらわれずひなたを見守り、仕事を任せてたことが原動力だったと思うのです。

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