「なぜ私が?」という違和感――それは組織を変える最強の武器になる
2026.03.20
「女性だから、という理由で抜擢されたのではないか」
「実力で評価されたいのに、属性を強調されることに抵抗がある」
女性活躍推進に携わっていると、時に研修等の参加者から、このような切実な葛藤を伺うことがあります。
実は、その「違和感」こそが、組織に潜む構造的な課題を捉えるための最も重要なセンサーだと私は思っています。
今回は、オフィス・キャリーノが伴走した某メーカー様の事例を引きながら、当事者の葛藤を「組織の成長」へと転換させる具体的な処方箋をお伝えします。
1. 「女性だけの問題」にしない:上司を巻き込む三位一体の設計
女性活躍が進まない最大の理由は、女性個人の意識ではなく、彼女たちを取り巻く「育成の構造」にあります。
あるメーカー様では、「上司巻き込み型」の管理職育成研修を導入しました 。
この取り組みの最大の特徴は、「受講者・上司・人事・講師」がバラバラにならず、一つのチームとして動く仕組みにあります 。
•多角的なアセスメント: 講師が受講者の特性を客観的に評価します 。
•三者面談による「目線合わせ」: 研修後、上司・人事・講師の三者で面談を行い、評価のすり合わせを実施。企業の経営・人材課題に基づいた対話を行います 。
•「業務付与」へのコミット: 面談の結果を踏まえ、今後の育成に直結する具体的な仕事のアサイン(業務付与)を検討します 。
•人事による実行チェック: 計画された業務付与に基づいた異動や配置がなされているか、人事部が異動期に厳格にチェックを行います。
2. 成果は数字に表れる:10%未満から20%弱への躍進
この「個人の意識」と「組織の仕組み(配置・育成)」をセットで変えるアプローチにより、当該企業では顕著な成果が得られました。
2010年度には 3.7% だった比率が、2022年度には 18.7% へと着実に増加しました。
「女性向け研修」への抵抗感を持つ受講者も、このように「組織が自分を本気で育成し、適切なステージ(業務)を用意しようとしている」という構造的な変化を実感することで、自身のキャリアに対してより主体的なリーダーシップを発揮するようになります。
3. 「マイノリティの対話」がリーダーを育てる
「女性だけで集まって何を話すのか?」という疑問への答えもここにあります。
マジョリティ基準で作られた組織構造の中では、マイノリティは「自分の努力不足」として問題を内面化しがちです。
しかし、同じ立場の人々が集まり、構造的な不利について客観的に語り合うことで、「個人の悩み」を「組織のリーダーとして解決すべき課題」へと昇華させることができます。不条理な構造に気づいた人こそが、本当の意味で組織をアップデートできるリーダーになれるのです。
4. 次なるステージへ:着任後のフォローと職域の拡大
もちろん、管理職に登用して終わりではありません。現在の課題は、登用後の継続的なフォローと、偏りがちな「女性管理職の職域」をいかに広げていくかという点にあります。
これは、管理職個人への支援と同時に、組織全体の「管理職像」をより多様なものへと再定義していくプロセスでもあります。
この件は、私が外部講師として関わった女性管理職育成の「プロジェクト」です。
人事部と、職場と、そして対象のみなさんがまさに三位一体となって取り組んだものでした。
改めて、推進された人事部の皆さんに敬意を表します。
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【人事担当の皆様へ:オフィス・キャリーノからのメッセージ】
「なぜ私がこの担当に?」というあなたの問いは、組織の「当たり前」を疑うための大切な出発点です。
女性当事者のマインドアップと並行して、上司の意識改革や、評価・アサインの構造自体を変えるコンサルティングを組み合わせることで、組織は必ず変わり始めます。
葛藤を抱える社員自身が、誰よりも「構造」を理解した変革のリーダーになれるよう全力で伴走します。
個人の力を組織力へ。ダイバーシティ推進・ミドル活性化は朝生容子へ