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読書記録:ヤマザキマリ氏著「ヴィオラ母さん」

2021.02.01

テルマエロマエの漫画が大ヒットしたヤマザキマリさん。実は北海道
出身だということを知ったのは、私が札幌に引っ越してきてからでし
た。お母様が札幌交響楽団の立ち上げに参加するため東京から転居し
たヴィオラ奏者だったのです。

そんなお母様のことを描いたのが、この「ヴィオラ母さん」です。

まだ開拓地の面影を残した北海道。そこで常識破りの子育てをしたのが、
シングルマザーであったりょうこさん。

その子育てが常識破りであるのは、まず子育てより自分のやりたい事
が最優先であること。母一人娘二人の生活の中で、けっして子育ての
ために自分のヴィオラ奏者としてのキャリアは諦めませんでした。
子どもを他人に預けても、演奏旅行とバイオリンの稽古はやめなかっ
たのです。

もう一つ、当時としては(多分今でも)常識破りなのは、子どもを育
てるのに、周囲の援助を積極的に求めていった事です。

中でも印象的なのは、別れた2番目の夫の母親と同居を続けていたこと
です。常識で考えれば別れた夫の母親と自分の子供の育児を任せると
んなことは気にしません。

おそらく義母のことが好きだったのでしょう。

一度は出て行った義母を探して迎えに行く下りは印象的でした。
義母のみならず、時にはご近所の家にも子どもを預けます。
マリさんの人格形成に大きな影響を与えたであろうと思うのは、近所の
カトリック教会の修行僧たちに預けたことではないかと思います。
りょうこさんがミッションスクールの出身であったため、修行僧にも
親しみを感じていたとのこと。

そうはいっても、預けられたマリコさんや妹、そして母親のりょうこさん
自身も、やるせない思いを抱くことも度々あったことがこの本では描かれ
ています。

人生とはジレンマの連続ですどちらが正しいということは明確には分か
らないでもどちらかを選ばなければならない。その時、自分の夢をひた
すら追い求めるという選択もあるということが、りょうこさんの生き方
から気づかされます。

特にキャリアと子育てのジレンマに悩んでいる女性にとって、多くの示唆
に富んでいるのではないでしょうか。

人生の選択において大切なのは、いずれにしても自分で納得して選ぶこと。
そしてそれを誰かのせいにしないこと。
それが徹底しているのがりょうこさんです。
人生のジレンマに悩んだ時にまた再読したい本のひとつです。

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