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キャリアカウンセラーの私が女性リーダーに「片付け」を勧める理由

2018.07.22

2016年3月に、キャリア女性と経営者の交流サイト「Kigen W」に寄稿したものです。
同サイトが閉鎖されたため、こちらに転載します。
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こんにちは。キャリアカウンセラーの朝生容子です。
突然ですが、みなさんの部屋は整理整頓が行き届いていますか?
必要なものはすぐに見つかりますか?
買ったはずなのに見つからない服などはありませんか?

■キャリア女性にも関心の高い「片付け」
私は「大人の女性のためにもう一花咲かせる講座(※)」と名付けた少人数制のセミナーを、キャリア女性対象に、およそ月1回のペースで開催しています。その中で特に関心の高いのが「片付け」をテーマにしたセミナーです。忙しい毎日を送る女性管理職の方々にとって、片付けの時間を捻出するのは難しく、それだけに効率的、かつ効果的な方法を求めている様子がうかがえます。

では、なぜ人様のキャリアについてのアドバイスをする私が、セミナーまで開いて、女性リーダーともいうべき方々に「片付け」をお勧めするのでしょう?その理由は、私自身の体験にあります。

■「片付け」で見えたキャリアの方向性
恥ずかしながら、私自身は片付けが大の苦手でした。特に本については、「おもちゃは買わないけど、本ならいくらでも買ってあげる」という親の方針で育ったせいか、読みたい本は買わずにはいられず、そうして買い集めた本が、本棚から溢れて部屋の中で山を築いていました。

そんな私でしたが、東日本大震災で積み上げていた本が雪崩をうって崩れたのを見たのをきっかけに、一念発起して片付けに着手。1年間で約600冊、2年間で約1000冊の本を処分し、すっきりとした本棚を実現しました。(それだけ本があったということも驚きでしたが…)

効果は、物理的に部屋が片付いただけではありません。本を片付けるうちに、自分自身キャリアの方向性が見えてきたのです。

その時の私は、「断捨離」や「人生がときめきく片付けの魔法」に代表されるような片付けノウハウの本は読んでおらず、全くの自己流の泥縄式で、その本を残すか処分するかの優先順位をつけていったのでした。

優先順位をつける過程で気が付いたのは、私にとって、いわゆる経営学に代表される「ビジネス書」は、それほど優先順位が高くないということでした。以前はあんなに興味深く読んだからこそ、大事にとってあったのに…その結果は私にとって軽いショックでした。

その代りに「これはぜひ手元に残しておきたい」と思ったのは、心理学や各分野の人の自伝などです。それを見て、その時の自分の興味が、人の成長やキャリアにあるということに気づきました。

当時、まだ経営学を中心としたトレーニングを売りものにする社会人向け教育機関で働く会社員でした。が、この片付けを通じて、漠然と考えていたキャリアカウンセラーとしての道に、自分のキャリアの舵をきる決意のきっかけとなりました。

■「片づける」は自分の過去に「片をつける」こと
人間は時間と共に何かを身につけることで成長していきます。若いうちは、基本的には、何かを捨てたり手放したりするよりは、獲得するものの方が多いでしょう。

しかし、獲得したものがあまりに増えすぎると、自分自身がどんなものを身につけてきたのかがわからなくなってしまいます。本が山になった状態では、必要な時に必要な本が見つからないように…。

そんな状態を避けるために、一定のポジションを得た女性管理職であっても、時折、自分の人生の棚卸を行い、不必要なものまで身につけていないかをチェックする必要があります。

両手で何かを握っていたら、新しいものは握れないように、今持っているものを手放さないと新しいものは得られないといわれています。それは人間関係も同じこと。私は本の整理と前後して、社外の異業種の人たちとの交流が広がりました。そこで出会った女性リーダーとはいまだに交流を続けています。既存のネットワークを見直すことでこれからの人生に大切な新しいコネクションを獲得するとの可能性が広がります。紀元の会員になる事も、新しい女性リーダーとしての道を切り開く一歩になっていく事と思います。

しかし、獲得する方法を磨いてきた身には、何が不必要かを判断する力は不足しているのが通常です。また、せっかく手に入れたものを捨てることは、それだけで抵抗があります。そこで、まず物理的な「片付け」を経験することを女性リーダーの方々に、私はお勧めしたいのです。本でも服でも、何でも結構です。物理的なものを片付けることを通じて、「不要なものを見極める」「捨てる」筋肉を鍛えていくことができます。

加えて、忙しい毎日を送る女性リーダーにとって、ものが整理されているのは、日々のちょっとした意思決定の時間を短縮するのにも役立ちます。片づけられていると必要なものがすぐに見つかることは、多くの人が体験されていると思います。

もしあなたが、キャリアの混乱の中にいて、前に進みたいけれど、過去に得てきたものも捨てられない状態であるならば、物理的な片付けに着手してみてください。「時間ができたら」と言っていると、その時間はなかなかできません。時間を作るために、片付けのプロに依頼して、時間とお金を投資してしまうのも手です。残すものと処分するものを比べてみたときに、今のあなたが大事にしたいものが見えてきます。それはきっと女性リーダーとして進むヒントになるはずで、投資を回収してあまりある効果が期待できます。

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