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「養子」という選択肢

2018.08.05

NHK朝の連ドラが、この10月から「花子とアン」から「まっさん」に変わりましたね。どちらも実在の人物をモデルにした番組ですが、両者の主人公夫婦に共通している点があります。何でしょう?
そう、もうお分かりですね。
どちらの夫婦も、実子に恵まれず(村岡夫婦は実子の夭折により)、「養子」を迎えているのです。

このFacebookページの読者の中には、不妊治療の結果、子供に恵まえなかったら養子を迎えることを検討しようと思っていらっしゃる方もいるかもしれませんね。そこで、日本の養子制度について調べてみました。「子供のいない人生を考える」という、このページの趣旨とは異なりますが…(^^ゞ。

そこでわかったのは、「養子」を迎えることは、やはりそう簡単でないことです。もし「不妊治療がうまくいかなかったら…」と考えていると、下手をすると養子を迎えることさえ不可能になってしまうリスクもあるのです。

※情報の正確性は、複数の情報源の照合により十分、注意していますが、専門家ではないため正確さの保証は致しかねます。実際に検討される際には、ご自身で必ずご確認ください。

●2種類の「養子制度」
日本の法律で定められている「養子制度」には2種類あります。一つは「普通養子」で、もう一つは「特別養子」。前者は実親と子供の戸籍上の親子関係はそのままで、縁組する際の子供の年齢制限などはありません。主な目的は家や財産の保持です。
それに対し、後者の「特別養子」は、「子供は6歳未満」が原則で、子供と実親とは離縁し、養親の戸籍に「実子」と記載されますが、養親から離縁することはできません。今回は、この「特別養子」について取り上げます。

●「養子」を迎える前に「里親」になってみることが必要
一方、「里親」制度というものもあり、子供と「里親」として自分の家庭に迎えて過ごすことができます。「養子」との違いは、戸籍上の親子関係を結ばないこと、親権は生じないことです。また、里親制度は、「養育里親」「専門里親」といった具合にいろいろ種類がありますが、今回は特別養子の前提となる「養子縁組里親」と考えてください。

ではなぜ「里親」になってみることが必要なのでしょうか。
第一の理由は、特別養子迎えたい場合、養子を斡旋してくれる機関(児童相談所や民間団体など)が、養親としてふさわしいかの審査基準に「里親」の経験があるかが問われることがほとんどで、実態として必須条件になっているからです。

「里親制度」と「養子縁組制度」は法律的には全く別のものですが、現実にはオーバーラップして運用されています。
養子縁組に至るまでのもっとも典型的なパターンは、
児童相談所で里親登録
→里親として子供を養育
→児童相談所の指導と援助を受ける
→家庭裁判所に子どもとの養子縁組を申し立て
→認容の審判がおりて養子縁組成立
となります。
なお、児童相談所で里親登録し里親として子どもを養育すると、その養育期間が、特別養子制度で求められている試験養育期間として認められます。

●「里親」になる条件
では、そもそも「里親」になるための条件はどういった条件が必要なのでしょうか?
「(子供の養育という観点から見て)心身共に健康であること」「児童の養育に関し、虐待等の問題がないと認められること」等の当然といえば当然の条件の他に、「養子縁組里親」の場合、東京都は「里親申込者は、原則として25歳以上50歳未満であり、婚姻していること」と年齢上の条件を設定しています。これは、法律上の制限ではなく、自治体が設けているもので、各自治体によって、その年齢は異なります。子供が成人したときに不自然な年齢ではないことを考慮していると言われています。

不妊治療をしている場合、気が付くと特別養子を迎える年齢制限にもひっかかってしまいかねないといったのは、この「里親」の条件によるものです。

また、「共働きはだめ」といった噂も聞きますが、子どもの養育に相応しい範囲での共働きはO.K.です。しかし、実子でも、子供が生まれてしばらく育休を取るのと同様、子どもを迎えて少なくとも数ヶ月から1年ぐらいは継続して子どもを養育する態勢を整えることが望ましいと考えられています。

不妊治療の技術が進化するにつれ、「実子を産む」ことへのこだわりが強くなり、結果として「養子縁組」が減少しているのだそうです。もし「子供のいる家庭がほしい」ということが希望なのであれば、手遅れにならないうちに養子縁組や里親を選択肢の一つに考えることをお勧めします。

【参考資料】
(1)「明日、ママがいない」から、養子縁組を考える
白河桃子氏:少子化ジャーナリスト、作家、昭和女子大女性文化研究所特別研究員、大学講師

(2)「養子制度」について考える
野辺陽子氏著:東京大学大学院人文社会系研究科 社会学専門分野 博士課程在学中(2012年10月掲載当時)

(3)東京都福祉保健局/里親制度

(3)書籍「子供のいない夫婦のための里親ガイド」明石書店
吉田菜穂子氏著:フリーライター、3年間にわたる不妊治療を経て里親登録、委託された子供とは特別養子縁組済み。本著はその実体験に基づくもの。

2014/10/15

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