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「千葉ジェッツの奇跡」から読む島田社長の軌跡

2017.10.09

先日、バスケットBリーグの理事をしているTさんからお誘いを受けて、千葉ジェッツのホーム開幕戦を観てきました。
そこで購入し、その日のうちに読んでしまったのが、ジェッツの島田社長のご著書「千葉ジェッツの奇跡」です。

千葉ジェッツの観戦は2回目。
その他のチームの観戦ツアーもあったけれど、千葉を選んだのは私自身が千葉出身という理由でした。
だから、千葉ジェッツがどんなチームなのか、予備知識はゼロ。
でも、この本を読んで、観た試合が千葉ジェッツでよかったと思い、すっかりファンになってしまいました。

どんな内容かというと…以下、amazonの紹介分から引用します。

初めて年間観客動員数13万5000人を突破し、1試合7327人という最多動員数を誇るのが千葉ジェッツだ。5年半前、経営不振のクラブ立て直しのため社長に就任したのが、コンサルタントの立場でかかわっていた島田慎二。つぶすか、つぶさないかという瀬戸際を、これまでの会社経営のノウハウを活かし切り抜ける。そして、社長に就任するとすぐに経営強化のための再建計画を策定し、稼げる体制づくりに取り組む。スポンサー探しに奔走し、経営基盤を確かなものにしたあと、ブースター(ファン)をさらに獲得するため、地域密着型のクラブづくりに着手。イベントやお祭りなどに選手やスタッフが参加し、年間150~200回もの地域貢献活動で固定ファンを増やしていった。そして、実力も人気も高い富樫勇樹選手や外国人選手を戦略的に補強し、2017年1月の天皇杯で初優勝を飾る。卓越した手腕で経営を刷新し、人気・実力ともにBリーグトップチームに押し上げた島田流マネジメント術と、千葉ジェッツの変革の軌跡がギュッと詰まった1冊。

日本のバスケットボール界は、2つのリーグに分裂していたことから、一時は国際試合に出られないと警告されるまで危機的状況でした。後発のbjリーグ所属チームであった千葉ジェッツは、スポーツへの思いだけが先行していた組織。

そこに入ったのが現社長の島田さん。
もともと千葉にもバスケットにも縁がなかったと書かれていて驚きました。
自分の会社を売却した直後で、その経営の経験を見込まれてアドバイスしているうちに、のっぴきならない状態で関わっていくことになる経緯が興味深いところです。
だって、外部コンサルとしてアドバイスを求められていた時点では、「儲からないからやめた方がよい」とおっしゃっていたのに…

何の思い入れもなかったバスケットや千葉ジェッツというチーム。
この本にも
「ジェッツに対する特別な感情はなかった」
「いまだ気持ちは傍観者のままだった」
「なぜか再建計画にのめりこむ」
…と、チームに距離を置いた記述が繰り返されています。

それなのに、チーム経営にのめりこんだ理由を島田社長はこう語られています。

(旅先で40年ほどのご自分の人生を振り返ろうと思い立った時の事に触れ…)
この時に私が強く思ったのは、「これまでは自分中心で生きてきたのだから、ここからの人生は、世の中に必要とされる人間になり、周囲の人たちの求めに応じて生きていこう」ということだった。自分のなかの「~がしたい」という気持ちを捨て、誰かのためになる人生を歩んでいこうと決心したのだった。

40歳~50歳は「中年の危機」と言われるアイデンティティの危機を迎えると言われています。
それまで経営していた会社を売却した島田社長も、そんな時期だったのかもしれません。

ある研究によると、職業人としては、個人の成長と関係性の二軸でアイデンティティを定義づけられるそうです。
そして、40歳ごろを境に、前者から後者に、アイデンティティの軸が移っていくとのこと。
(広島大学 岡本祐子教授)

島田社長のこれまでの軌跡は、そうしたアイデンティティの転換の物語であったように思います。

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